そして、気候の温暖・湿潤で森の生育に適していたことも、日本列島に森の文化を誕生させる大きな要因となった。世界の古代文明が何れも農耕社会を基盤に置き、自然を破壊する中で、一万年近くにわたって高度の文化を維持したという点で、現在の環境問題の危機に直面した我々には、極めて示唆的な文化なのである。
日本列島に本格的に農耕が伝播するのは、中国やインドに比べて、数千年以上も遅れたということは、その後の日本の歴史にとっては、極めて幸いなことであった。 人類の自然破壊は少なく、森は保護された。そして、それが近世の封建社会を生み出す大きな原動力となった。