これまでわれわれは今日における物質循環の破壊を、資源の消費と再生、環境の同化能力の消費と再生という観点からとらえてきた。それは、経済の内部的な物質循環により注目し、環境との物質的交換をとらえることを意図しているものであった。したがってそこでは、環境からの資源の獲得の問題と環境への廃棄という基本的な物質的な交換過程にあらわれた不均衡に注目したのである。しかし、すでに述べたように、経済の外部の自然的・生物的環境もまた独自の物質循環の中にあり、それらとの物質的交換は一般的な物質循環の一つの部分的な過程でしかない。ここでは、今日生じている具体的な環境破壊の問題に焦点をあて、それを大域的な物質循環の観点からとらえなおし、より詳しい分析を行うことにしよう。