森の話では松茸と我々の関係も忘れてはならない。
松茸山というのは赤松林である。
昔の人は、この赤松林から赤松の葉をとってきては畑にまいていた。赤松の葉には除草作用があるという。
現代では、もっぱら漢方薬としての効能ばかりだが、そのことは、特殊な成分があるということを意味している。
確かに、松林というは、たいてい雑草が極端に少ない。
松茸というのは特殊なキノコで、赤土に覆われた生きた赤松の根に寄生する。
草深いところでは育たない。腐葉土というのもにがてらしい。
戦前の日本でも、松茸は季節の味ではあったが、高級品ということはなかった。
時期になれば、どこでもとれたからである。
理由は、人の赤松林の利用の仕方にあった。
赤松林も里山として機能し、人がきれに葉をとり去ってしまう。松茸の育つ環境が維持されていたのである。