平安時代の辞書「和名抄」では、野菜のうちで栽培したものを「園菜」、野原から採集したものを「野菜」と区別しています。
食卓に登場する一部の植物食品に対して「野菜という言葉が登場する、最初の文献です。
この時代にすでに栽培野菜があったこともわかります。
ただし園菜などを食べられたのは、ごく一部の上流の人だけだったでしょう。
多くの庶民はその後もずっと野草や畑の雑草などで間に合わせてきましたし、上流の人たちだって、限られた園菜ばかり食べていたわけではなく、さまざまな野の草や山菜を楽しんでいたようです。
その様子は『万葉集』をはじめとする文学作品からもうかがえます。
日本では、昔は「ナ」という言葉は「菜」であり、同時におかずとしての「肴(さかな)」という意味でも使っていました。
野菜、それもなっぱ、葉菜がおかずの代表選手だったことがここからわかります