16世紀になると、商業国家であったアユタヤーには当然ながら様々な新しい食べ物が輸入され、それらは即座にインドシナ半島中に広がっていった。その中でもっとも大きな役割を果たしたのはなんといってもトウガラシである。トウガラシは現代のタイ料理には欠かすことのできない香辛料であり、外国人がタイ料理と聞いた時に最初に思い浮かべるのはトウガラシの辛さではないだろうか。いわばタイ料理のシンボルにさえなっているわけで、まるで大昔からタイ料理の中で使われてきたことが当たり前のように思われるのだが、事実は違うのである。トウガラシはタイ族が東南アジアに来てから300年も経ってから出会ったモノであったのだ。